[イメンマハの住民たちが語るマハ]完成！

マハの伝説

まだ魔族と人間の戦争が始まっていない昔のことである。 マハは戦争の三女神であるバイブカフのうちの1人で、 赤い髪の毛を持つ美しい女神だったらしい。

モリアンが戦士たちの介護をする神だとすれば マハは戦士たちを団結させ、 彼らの傷ついた魂を慰める女神であった。 彼女は人間の心の中を読むことができ、 彼らの心を支配する不安と恐怖を取り除くことができたのだ。 武芸にも優れ、彼女が大事にする戦士たちは 驚くほどの武勇を発揮した。

そのうち彼女は一人の男を愛するようになった。
しかし、神が人間を愛することは大変難しいこと。
不滅の存在である神と、不完全な存在である人間がお互いに愛し合うことなど、 最初から不可能なことだったのかもしれない。

しかし、彼女はあきらめなかった。
彼女は人間の姿となり、 自分の求める愛を貫こうとした。
神である自分を捨て、人間になることはとても困難なこと。
しかも、マハのように人間の心を読める女神にとっては特に難しいことであった。

彼女は人間となり、 自分が愛する男のために全てを捨て、一人の女として 男に会うことを望んだ。

しかし・・・、彼女の思いは報われなかった。
男は彼女との約束を破り、 他の女と婚約をしたのだ。

マハはそれを知っていた。
恋人が自分を裏切ることを。
しかし、そう考えること自体が罪だと思い、 完全な愛を求め人間を信じたのである。
それが人間の持つ愛の力だと信じたのだ。

裏切られた彼女は人間の愛の 無価値さに嘆き悲しんだ。 そして、この湖に身を投げ死んだ。

湖に身を投げる前、 彼女は世界と人間を激しく呪った。
彼女の呪いは歌として残り、現在まで伝えられている。
彼女がここに身を投げ死んだ後、 大きな干ばつが起こり、嘘のように魚が釣れなくなった。
湖は彼女の髪のように赤色に変わり、 木はからからに乾き、実がならなくなった。

人間たちはこれを見て 彼女の呪いが現実にまで及ぶのではないかと脅えた。

その後、人間たちは彼女を戦争の女神と呼ぶより ｢破壊の女神マハ｣という名前で多く呼ぶようになった。
・・・その後、モイトゥラ戦争で功を立てた 先代の領主がこの領地をもらうことになり、 あらゆる手を尽くして彼女の呪いを解く方法を探した人間たちは、 彼女がこの世に残した未練を利用した方法を探し出したのだ。

彼女の名前から都市の名前をイメンマハと名付け追悼し 哀れな一人の人間としての人生を後世に記憶しよう。 そうして、ここは現在の姿になったのだ。

しかし、まだ悲しみが消えない彼女の魂は 人間たちに自分の姿がわからないよう 人魚やセイレーンの姿として 現れることがあると伝えられている。
イメンマハの象徴が人魚であることはこの話と無関係だとは言えないだろう。