- フィアードの森を回る者 -
The wanderer of Fiodhe


ポリル著


目次

1. はじめに
2. フィアード森の伝説
3. フィアード森に行く
4. 不可能な再会
5. 私が求めようとした名誉
6. キャンプファイアたき火を囲んで
7. おわりに

1。はじめに

真の意味での名誉は、いかなるものか?
私が長い間、考えてきたことだ。.

若い頃は、名誉について漠然としか考えなかった。 ただ、人より優れている点があったら、それを認められ、評判が積み重ねていくうちに 自然にそれが名誉になると思っていた。実は私は名誉に憧れたこともなかった。 人たちに認められようがみとめらるまいが、私とは関係のないことだと思っていた。 自分自身はとても魅力的な女性で、外見だけではなく冒険家としても実力があると 思っていた。手を出すと、人たちに認められるのは時間問題だと思っていた。だから名誉への価値に対して 若い頃真剣に考えてみる機会がなかったのも、当然のことだ。

しかし、今は違う。今まで漠然と思っていた名誉は、実際的な価値として毎日その意味を 繰り返して考える対象になっている。その繰り返して考えているうちに、若いときの美貌と男たちの お世辞を信じすぎて、空しく過ぎ去った私の若い時代の淋しい思い出と自分の全てことを私のために捨てた私の旦那に対する 憐れみが溢れてきた。

この全てのことの始まりは、私がフィアード森の伝説を聞いたときからだ。

2。フィアード森の伝説

昔昔、魔族ポウォールとパーソロン族で代表される 人間がセンマイの平原で自分たちの名運をかけて大激突した。. ポウォールが伝説の巨人をはじめ、多様な魔法生物を召還の問題で長い間の戦いは、結局 奮闘にも関わらず、人間の敗北で幕は閉じた。

センマイの戦闘後、敗北した人間たちは、二つに分かられて後退したが、 一つは北のアントリム山脈の辺りまで移動し、もう一つの方は、ガイレフ丘が始まるところにあるフィアード森の中に 非難所を作った。

フィアード森は、バンホールの北のガイレフ丘の辺りに位置している森だ。 乾燥気候で藪のなかは朝になると、たくさんの露のことからある詩人はこの森のことを 涙の森と名前をつけた。

フィアード森は、妖精たちが住んでいると伝えられる森の一つで、センマイの戦闘以後、ここに非難した人間たち ーパーソロン族に代表されるー銀の妖精の許可を得てここに自分たちが住む町とポウォールの襲撃を予想して 要塞を作ろうとしたそうだ。妖精はポウォールに敗北してここまできた人間のこのような要請を承諾した。 しかし、すでに他の妖精の森も人間の活動でだんだん消えていく状況。妖精は、森の中央にいるお母さんに害を与えてはならないとう 条件をだしたし、人間たちは潔く自分の名誉をかけてその約束に応じた。

しかし、結局人間たちは、妖精の好意を無視して、妖精が切ってはならないと言ったお母さんの木を倒してしまった。 これに激怒した妖精たちは、人間たしに対して呪をかけて結局、この森で人間の手があたった全てのものは、木と草に覆うようになった。

その以後、フィアード森には、たくさんの伝説が伝えられるようになったが、 その伝説の共通点の一つは、この森で道に迷うようになった人たちに対する話だ。

森の中でさまようようになった理由は様々だった。森のなかの光景に惚れて あっちこっち回るうちに道にさまようになることから、凶暴なモンスターたちが森のなかに住んでいった 森のなかを通っていく人をそのまま置かない話。そして、人間に失望した妖精により、深い森に連れられて結局、道にさまようになって 死なせるという話まで・・・

しかし、いずれにしても一つだけは確実だ。全ての話に妖精たちが登場していることだ。 そうして、私は三十路をはるかに過ぎた年になって、冒険家として妖精の実体について信じ始めた。 それから、フィアード森の探検を決心するようになった。

3。フィアード森へ行く。

フィアード森は、ガイレフ丘の太陽を避け、休憩していくのにちょうどいいところだ。しかし、 日差しさえ入ってこない木できっしり している森はあまりにも陰惨で、そのなかに入るのには、勇気が要った。 やっとそのなかに足を踏み出した。ふくらはぎまで及ぶ草と目をさすような木の枝をとりのけながら、 森の中の道に入ると、今まで見たこともないきれいな光景が目の前に広がった。 ここに森の妖精が住んでいるという伝説が伝えられることに納得されたほどだった。

そして、私は見てしまた。森の妖精を。うすい緑の雰囲気を体中に漂わせ、魅力的な若者の姿をし、 きれいな影をさし、森の中を行ったり来たりする妖精の姿はとっても活気あふれて見えた。 私は何かに惚れたように妖精の後につき、森道の奥に行った。妖精はある歌を口ずさみながら、 飛ぶように大変早く、森道の奥に消えてしまった。

それは、凄い発見だった。私は、少しでも妖精をはっきり見たかった気持ちが先走って、装備が落ちていくことも 気づかないまま、妖精が消えて行った方に追いかけた。

妖精の後を追いつくのに、夢中になっていたが、ふと自分の気に戻ったとき、私の手には何も持ってなかった。 腕のいろんなところには、木に傷つけられてしくしくし始めた。私は道に迷ってしまったのだ。

ほんとうにどうやればいいのか分からなかった。

しばらくのうち、そのままそこに立っていたとき、誰かに触られた。それは先ほど、私が追いつけた妖精。

私は大変、驚いたが、すぐ自分を落ち着けた。しかし、これとは違う別の感情ができ始めた。そして、その感情は心を経て顔の方に流れ出した。 それが可能なことだとは、思わないが、何かあったかい感情だった。

当時、年が三十過ぎた女としてこのようなことを言うのは、恥ずかしいことかもしれないが、私は正直にその妖精の一目ぼれしてしまったようだ。

その当時のことはよく覚えてないが、まるで禁止されたところに入ってしまった気分だった。

初めて見たような好奇心の目で私を見つめる妖精に、私の心をばれたように顔を赤くして 身振り手振りでここから抜けだせる方法を聞いて見た。妖精はそんな私をしばらく見つめてから 何かを決心したように、私を森の外に導いた。

4。不可能な再会

そうやってダンバートンに帰ってきてからも、私の心はひたすらフィアード森とそこで出遭った妖精のことを思い続けた。 そのような自分自身に驚くばかりだった。仕事が手につかなかった。毎日練習していた剣術も、前のように進まなかった。 人たちにその出来事を話すと信じてくれなかった。時間そ過ごしながら自分をしっかりしようと努力したが、フィアード森と 妖精に対する懐かしさは日を増しにつれ、深く行くばかりだった。

私はその翌日、明けると、露を含んで木の匂いで一杯のフィアード森に向かった。そして、前入ったことのある森の入口で 緊張した胸を撫でながら、一足踏みだした。

しかし・・・私はそこに入ることができなかった。そこには大きい封印の岩があったのだ。

その封印石に手をあてるとたん、微かなあるメセージが浮かんだ。そして、くっきり私の意識のなかに伝えてきた。
・・・名誉のある者。名誉のある者のみ、この封印を解体できるという・・・

そして微かに伝えてくる人間と妖精の間の悲しい記憶・・・ 妖精は、ここに人間が深くまで入ってきた後、帰ったことを覚えていたようだ。 昔、人間が名誉をかけて妖精との約束を守らなかったことが心に伝えてきて痛くなり始めた。

妖精はここに、人間が入ってくることを承諾してくれないと・・・ 気持ちとしては、私ができる限り、この岩を壊してもその中に入りたかった。 しかし、その一日中封印石を叩きながら、自分はそんな人ではない現実を確認するしかなかった。 名誉に対して真剣に考えたこともない自分自身に、これほど悔しく感じられたことはなかった。

その妖精をとの再会はできないか。このような思いで一杯な自分がばかのようだったが、夜に眠れることができないほど、森と妖精に 会いたいと思っている自分をどうしようもできなかった。

5。私が求めようとした名誉

その以来、私の関心は一筋、果たして名誉のある人になるためには、どんな人になるのかだった。 最初は人たちに私を認められることから、名誉を得られると思った。しかし、いい年にした売れ残りの女が、人に認められるために どんなことをすればいいのか工夫しているなんて、みっともないということは、私も承知している。しかし、せつなかった。 妖精の姿と封印石から伝えてきたメセ-ジを聞いたときのつらさ、そして瞬間瞬間やってくる寂しい思い。私の顔を見つめる妖精の顔が思い浮かぶ度に その封印石を壊したい気持ちはもっと強くなっていった。

その翌日から、私の生活は変わった。町の人たちに頼まれることは何でもやってあげた。つまらないことから、農夫の雑な仕事、そして モンスターの退治にいたるまで。強いモンスターと争って倒すこともあった。これほど、人たちの評判や視線に気にしたことはなかった。 とうとうとして傲慢だった私がこんなことをやることに、町の人たちは驚くばかりだった。

私は本気で、私の名誉を高めようと努力した。しかし、そうやればばるほど、嫌気がさしてきた。私は、果たして何のためにこうやっているのか。 私、個人の名誉というのが、人間全体の名誉とつながれるか。

6。たき火を囲んで

続けて時間は流れていた。そのある日いつもと変わらぬ夜中に私は、フィアード森に向かった。途中で焚き火をしたまま、 リュートをひいている同じごろの男の人に会った。

フィアード森の辺りの荒い地で、たき火をしたまま、野営している彼もまた、フィアード森の中で、きれいな妖精にあったことがあるらしい。 その妖精をわすれられなくて、自分も名誉を得るために、巡礼をし続けているそうだ。私たちは、同じ道を歩んでいた。

彼はみずぼらしい見た目だったが、数多くの歌を知っていた。そして、どのくらい時間が流れたのか、彼は、どこか聞きなれたメロディーの歌を 歌い始めた・・・そのメロディーは、正にその妖精が口ずさんだ歌だった。

そのきれいな歌の最後の部分は、まだ、はっきり覚えていた。

‘墜落してしまった人間の名誉。
十五個の呼称があるとしても
その名誉を取り返えせるかは
私には分からない。
今日も、私は祈る心で
私自分の尊厳のため生きていくんだね。’

その歌を聴いて、びっくりした私に彼は説明してくれた。古い前から伝えられた歌だと。 すぐ、私は名誉の実体について、彼の考えを聞いたら、彼は私をじっくり見ながらこう答えた。

評判と名誉とは違うと。名誉はそれに追いかける者には得られないと。自分が追求している価値観を一生貫くと、自然に名誉はついてくるもんだと。

そして、やさしい笑顔で一言加えた。自分が追求していることと、異なることを選択するよう、強いられるとき、自分が追求することを 選択すると、結局それが名誉になるはずだと。

彼の言葉を聞いた瞬間、私は悟った。私が求めていたことは、妖精や名誉ではないことを。それは、一つの結果物だけで、 私が本当に願っていることは、深い孤独のなかから私を取り出してくれる人だと。

そうやって私は、彼と結ばれた。そして翌年結婚した・・・もちろん心の片隅では、再びその森に行って、妖精に会いたい気持ちは残っていた。

7。おわりに

それからずっと先のことだった。
彼がまさに、私が遭った妖精だったことが分かったのは。

彼もやはり私を忘れなかったのだ。私に会いたい思っているうちにばれてしまって、禁忌を犯したと罰をうけてから、人間の姿で フィアード森に追い出され、その周りで私を探し迷っていたのだ。

彼はまだ、私と遭ったときの歌を口ずさみながら、故郷を懐かしく思っている。私もやはりそのような彼を理解している。 彼は自分が願っていることを自分がもっていることを捨てて選択した。彼がたまに昔のことを振りかえてもそれを後悔だと断定できないのだ。 私もまた、その妖精に遭いたい気もちがしばらく残っていたから・・・

私がフィアード森に入りたい理由は、私の欲望から、今は私が愛する人の願いで変わった。

しかし、私は私たちがフィアード森に入れるキーの真の名誉に対してまだ分からない。

私は今日も主人と一緒にフィアード森の周りをさまよっている。最初は、私たちの名誉が、岩を壊すほどなものか確認したが、 今は、森の道を妨げている岩を壊してその中に入らせてくれる名誉のある人を待っている。彼が歌った歌のように十五個の名前で呼ばれる人で、 謙遜でその名誉がもっと輝く英雄を。人間の名誉を高める英雄を。

たとえ、フィアード森で道にさまよう人たちの話に、私夫婦が一つの話を加えることになるとしても 待ち続けるだろう。