- 封印石に関する研究:トゥガルドアイルの封印石 -
Research for the Sealstone : Dugald Aisle


ジャルマン著


目次

1. 序文
2. ティルコネイル及びドゥガルドアイルの概括
3. ドゥガルドアイルの山崩れ
4. 岩の意味
5. 現場の岩
6. 確認の手続き
7. 学界の反応
8. 終わりに

1. 序文

この本はラビダンジョンの封印石とキアダンジョンの封印石に次いだティルコネイル近くの封印石についての3部作のうち最後の巻だ。

この本の前作といえるキアダンジョンの封印石が出版され、冒険家たちからの大きな反響を呼び起こした。キアダンジョン周辺の怖い野生動物からの攻撃で命が危険な状況でも真実を明かそうとする研究者たちの意志に深い感銘を受けたと書いてある手紙はこの年寄りの研究者の心を暖めてくれた。この場を借りて感謝の意を表示する。

他にも、前の2冊の研究書のあとを継ぐ新しい著述に対する期待を表現している手紙が多かったが、実は身に余るくらいの関心を受けた俺にとっては、これ以上書くものもなく、また書くべき必要性も感じなかったことも事実だ。
これまで俺は後学のために生徒たちを指導しながら定年を迎えていたが、誰も予想できなかった事件が起こったことで、俺が書いた2冊の本に対する責任をとらなければならないと思い、この本を執筆するようになった。

その予想もできなかった事件とは、ティルコネイルとダンバートンの間をつなぐドゥガルドアイル入口のところで山崩れがあったということを聞いてからはじまった。

この本は一つの質問に対する深い関心を持っている学者の直観がどう発揮されたかについての記録で、既存の俺が書いた本で間違っている事実に対する修正だ。また、既存の事実の一大の転換点となる俺の一生の力作でもある。

封印石の研究に新しい地平を開けるこの本の出版にいろいろ力を貸してくださった学者たちに感謝する。もしこの本に何かの間違いがあればそれはまったく俺の責任となることをここで明かす。

-インボリック12日。ジャルマン。

2. ティルコネイル及びドゥガルドアイルの概括

まずこれに関する物語を語り始める前に、事件の背景となるティルコネイルという村についてはっきり説明する必要がある(俺は以前の著書で言及したように長い間ティルコネイルの風習、彼らの暮らしや文化などを研究してきた)。
ティルコネイルは現在エイリフ王国の国境に位置しているウレイド地方にある小さな山間の村だ。遠い昔ウルラ大陸にウレイド王国という強い王国を建てたパルホロン族の子孫たちが作り出した村だ。しかし、それもポワールとの戦闘やタラトでの悲劇などでその力を失い、現在のウレイド地方に縮小されたという事実はよく知られている。彼らは以前の力を失ってから山奥の小さな村を作り、ティルコネイルと名づけ、外部とはほとんど交流しないで生活してきた(モイトゥラ戦闘でティルコネイル出身の戦士たちが見せてくれた勇名さは別にする)。

現在のティルコネイルは自治区程度の意味を持っていて、エイリフ王国に属していない独自的な生活をしている。このため、ティルコネイルは過去の人類の習慣や文化などがどう保存されているのか研究するのに重要な証拠として思われている。

ティルコネイルへ行く道はいくつかあるが野生動物の出没が多いため、事実上一般人が利用できるような道は

一つだけだ。それ道とはドゥガルドアイル。エイリフ王国の東の国境地帯に位置している交通の要地であるドゥガルドアイルからアントリーム山脈に沿って上がる狭い道だ。俺もやはり以前アルビダンジョンとキアダンジョンを調査するときこの道でティルコネイルへ行ったことがある。ティルコネイルtpエイリフ王国で行われるほとんどの交易と移動はこのドゥガルドアイルを通してからなので、ここで起こる事故というのは二つの村、しかも現在と過去をつなぐ通路に問題があることを意味している。

3.ドゥガルドアイルの山崩れ

これから俺がこの本を書いた理由について本格的に述べる。
俺はティルコネイル地域を研究した人たちの記録を探すために寄った官庁で偶然ティルコネイルへ行く道で起こった事故について聞くようになった。

それはドゥガルドアイル入口に山崩れが起きて、その地域の交通が麻痺してしまったという。山崩れは高い山の石の隙間に入った水が気温の変化のため状態が変わるようになったことで起こるものだ。比較的に森によってしっかり支えられていて、山崩れの恐れのため伐木も慎重に行われているドゥガルドアイルでこういうことが起きたことはとても珍しいことだ。幸いにこの山崩れによる人命被害や死傷者はいなかったが、伐木キャンプの施設が一部壊れ、森の一部が損失される被害を受けたそうだ。

この地域で伐木をしていた木こりたちが投入され、ドゥガルドアイルの復旧が行われた。彼らの努力によって、ダンバートンからドゥガルドアイルへ入る入口以外はほとんど復旧された。そこには巨大な岩がはめられていたのだ。

4. 岩の意味

俺はその話を聞いて直感的にその岩が封印石だと確信した。しかしその確信はそれまで俺は証明してきたすべてを否定するのと同じなことだった。

確かに渡しは以前の著書のラビとキアダンジョンの封印石で、この封印石がモイトゥラ戦闘以降の古代人類によって作られてきたのが定説だと述べたことがある。しかし過去の封印石が現在の時点に急に現れたということは、既存の封印石の歴史と実態に対する学説と今まで共有してきた概念が根こそぎ揺らぐことになるからだ。

その岩が現場を復旧するために行われた外力に対して強く反発したということは、こんな可能性を一段と高めてくれた。そして、この岩に刻まれている文様、封印石だけの特徴のメッセージの存在、封印石が破壊できるための条件である魔法によって把握することができるならこの岩を封印石と呼べるだろう。また、既存の封印石についてのすべての学説は原点に戻ってしまう。

5. 現場の岩

俺はダンバートン領主の要請を受け取り、前キアダンジョンの封印石を調査するときと同じように調査隊を組み(残念ながらなくなった同僚セイザイクは同行できなかった)、ティルコネイルの南入口にあるドゥガルドアイルに近づいていった。

復旧は終ったが、散らかっている岩石や倒れた木などは当時の状況を語ってくれた。二日間かかって岩のところまで案内してもらった。岩は他の封印石より少し大きかったがやはり封印石特有の形をしていた。下の部分は土に埋もれていて紋様を確認できる状態ではなかったが、だと言って岩を超えるほどの大きさではなかった。


一部の人はこの岩を上がろうとしたが、岩の表面がつるつるして外力による反発で失敗したようだ。岩の周辺に土を積むことも考えたのだが、それもそう簡単ではなかった。我々はその岩を超えて通行するのは事実上無理だと判断した。できるのはたぶん飛んでいる鳥くらいかな。

岩が外力から保護されてはいたが、メッセージは見つからなかった。それで我々は封印石の特定の変種ではないかなという内容で議論を行った。

6. 確認の手続き

とりあえず俺たちは周辺の土砂を除去しながら封印石に書いてある紋様を探す作業に着手した。それから他の魔法学者たちはこの岩に作用している力が他の封印石とは違うものなのかを調べた。俺はセイザイクから学んだ方法からマナ係数を測定して岩を破壊できるような条件を探した。

その結果調査開始後3日目になる日、我々は魔族スクロールに書いてあるものと同じ紋様を見つかることができた。そして紋様を発見すると同時に岩からメッセージが流れはじめたのだ。

[多様なスキルに慣れている人のみこの封印を解除することができる]

そして、この岩に作用している力は封印石のそれと一致するという事実と、保護魔法にかかったマナ量をメッセージに出るスキルランクの値に換算したとき、スキルランク1段階を1にしてそれが20になった人が解除できることがわかった。
そうだ。これがまさに封印石だったのだ。

封印石についてのそれまでの研究に全面的な修正が行わなければならない状況になったのだ。何ヶ月前までも何の問題もなく通行できた道だったのに、突然封印石のせいで通れなくなったことをみると、封印石の設置は過去だけのことではなく、今も続けて起きていることを意味する。

7. 学界の反応

このような俺の調査活動は学界に大きな波紋を呼び起こした。最初俺がこんな結果を発表した当時、多くの保守的な学者たちの何人かは俺の調査過程を疑った。また、ある学者たちは、封印石そのものに歴史的な意味を付与する保存学派と、封印石が隔離しているものに関心を寄せている保護学派の学者たちの研究によって、学者たちが封印石を再現できるようになったのではないかと疑問に思った。しかし、こんな疑いは続々と調査団が派遣されるようになってからだんだんなくなってきた。

その結果、現在はこれらのすべての現象を支配する他の法則があるのではないかという仮説が活発に行われている。この仮説が事実であれば、もう封印石はどんな時点でできるとしてもおかしくないことになる。

これが保存学派や保護学派によって追加的に作られてきたのでないという明確な証拠さえ明らかになると、長い間封印石をめぐって提起されてきたいろんな問題は解題学派の意見が正しいという結果になる。

俺の一生をかけた研究にもかかわらず、封印石が設置される原因を見つけることができなかったのはとても残念だが、学派の論争とは別として、より広い視点で問題を認識する必要があると思う。これからは封印石のことで起きる交通や交易への障害や、人たちへの被害を最小化するために努力しなければならない。

封印石はこれから活発的に破壊されなければならない。それを破壊することで罪悪感を感じる必要はない。破壊されない封印石ならもうその役割を十分果たしていることを意味し、破壊される封印石ならそれ以上必要がないということが俺の結論だ。つまり、封印石を破壊できるような新しい英雄がたくさん出れば出るほど良いことだろう。

封印石は古代人類によって設置されるようになり、現代も続けて行われている魔法的な現象だ。封印自体はダンジョンでわかるように危険から人類を保護するためのものだが、いざ封印を解除できる者が現れると何の問題にもならない。

8. 終わりに

あなたの周りにある封印石を見てみよう。ドゥガルドアイルの封印石でなくても、長い間封印石が置かれていたり、新しく封印石が現れたところがあるのか?そしてあなた自身がその封印石を解除できるような能力を持っている選択された者なのかも調べてみよう。
あなたが本当の冒険家なら、ドゥガルドアイルに新しくできた封印石を簡単に破壊することができるだろう。そしてあなたのような冒険家によって封印石と人間の接触が多くなればなるほど、封印石に関わっている真実と秘密により近づいていくことを確信する。

この本が出版される頃もドゥガルドアイルの封印石はまだ破壊されていなかった。この地域の交通はまだ回復できず、多くの人々がこの封印石を破壊できる英雄が現れることを望んでいる。我々人間がこのエリンの世界で繁栄できるような祝福を受けたのは、エリンの絶対神アートンシミニの意志であるので、これを忘れずにあなた達の意志を通していくように祈る。俺の人生が終る前、ドゥガルドアイル封印石が解除できればと思う。どんな状況であっても、そのときはすぐドゥガルドアイルへ行き、そんな偉業を達成した英雄に会いたいのだ。.

最後に、この本を読んでくれたあなたと、今は妖精たちの地へ行った俺の昔の同僚セイザイクに感謝の意を表する。