- 音楽の正しい理解 -
An Ear for Music


ウェラ著


目次

序論
本論
1. 集中する
2. 繰り返す
3. バランスを取った鑑賞
4. 背景知識の調査
5. 演奏
6. 他の感覚への転移
結論

序論

話すためにはまず聞かなければならない。書くまえにまず読むことだ。
音楽も同じだ。ある情緒を表現するためには違う情緒を理解することができなければならない。
ここから音楽を正しく理解する必要性がある。しかし、残念ながら最近の人たちは歩くのもろくにできないのに走ろうとしている。

それで私は音楽を正しく理解できるようなある指針を提示しようと悩み続けてきた。この本を出したのがそう簡単なことではなかった。個人的なことを無視してこんな本を出すのが本当に良いことなのか悩んだ。また、私が書いたことが普遍的な価値を持っている、


音楽を理解するための案内書になれるのかなどについて反省も必要だった。この本を読む人のなかには、私のそういった努力を無視し、必要もないものとしてみなす人もいるだろう。

しかし、音楽についての幅広い地域と理解はあなたが作曲する曲により深い味を加えてくれると思う。曲を通してメッセージを表現する能力を向上させ、他の曲を理解する力を高めてくれるだろう。

私はこのような秘伝に到達する方法をこの本を読む人たちにみせたいだけだ。音楽知識を得るための求道の道で一人でも多い人たちが共感してくれたらそれで私は満足するのだ。

-音楽は求道の道、ウェラ

本論

多くの人たちは何か特殊な技術を持っている人だけが作曲できると思っている。しがし、音楽は技術ではなく芸術だ。これから展開される内容は技術としての音楽ではなく、芸術としての音楽に集中する内容だ。作曲の喜びや鑑賞の喜びを味わうためには、それのなかに溶け込んでいるいろんな要素を理解しなければならない。しかし、すべての要素をすべて整理するのは不可能なことだ。私はたった一つの方法としての一つの例を提示するだけだという点を忘れないでください。こういう観点から、音楽を理解するために必要な素養としては次のようなものがある。

1. 集中する

音楽を聴くときは気をつけよう。
当然なことだが、最近の若者はこんな基本的なこともできない。ただ聞こえてくるのが音楽ではない。音楽に耳を傾け、演奏者の感情やメッセージを理解するとき、やっと一つの音楽として完成するのだ。だから、注意を払いながら開いた心で受け入れることがとても大事だ。

2. 繰り返す

音楽を聴くときにも繰り返しが必要だ。
あなたは誰かの話を一回聞いて、そのとおりに繰り返すことができるのか?音楽はまさにそういうことだ。使われた音符や休符すべてが深い意味を持っているため、部分的には覚え、それから何回も繰り返しながら聞くのが大事だ。いくらきれいな音楽だとしても最初はただの耳慣れていない騒音にすぎないからだ。だからどんな音楽でも何回も聴き、覚えようとする努力が必要だ。

3. バランスを取った鑑賞

耳に慣れている音楽のほうがそうでないものより好まれるのは当たり前なことだ。また、音楽を繰り返して理解するのもとても重要なことだ。しかし、これは穴に落ちる可能性のある問題だ。いつも耳慣れている音楽だけ聴くと、あなたは音楽をバランスよく聞く能力が乏しくなるのだ。繰り返して聞き、だからと言って新しい音楽を聴くのを避けてならない。ただし、音楽を聴くのは喜びのためなので、それによってストレスを受けるようになるとよくない。強制的にやるのは音楽を正しく理解するにはよくないことだ。

4. 背景知識の調査

ある音楽を聴くときは背景の地域が大事だ。これは脈絡的な側面と技術的な側面二つに分けることができる。脈絡的な側面からは曲がどういう状況で作られ、どういう情緒を表すのかに対する知識だ。反面、技術的な側面からはどういう楽器が使われ、どういう音程や拍子などが使われているのかを分析する知識だ。両方の背景知識があれば、そうでない人より共感できる範囲が広くなるので、音楽の理解には必須的なことだ。

5. 演奏

音楽を聴き、音楽家と共感するのは半分の理解に過ぎない。聞くのと実際作ってみたり演奏してみるのは確かにぜんぜん違う問題だ。音楽を実演することで身に着けるような理解は自分の内面との関係もあるため、演奏というのはより深い音楽の理解が可能となる行動だ。しかし演奏が究極的な理解の目標にならなければならないということではない。私は今まで音楽も理解していないのにむしろ演奏に夢中している人の例を多くみてきた。音楽を理解するまえに、音楽についてまじめに悩む過程を持っていないことは哀れなことだろう。


6. 他の感覚への転移

音楽を演奏したり、聴いたりするときに他の感覚を思い出す練習までできるなら音楽の理解がより幅広いところまで広がっていくことだといえる。ある曲を聴いて、ある風景が浮かんできたり特別な感情に押し寄せられたりすることがそういうことだろう。これは音楽を演奏することでなく、誰にでも経験できるようなことで、感動するような良い鑑賞方法の一つだ。

結論

この本を読んでその趣旨を正しく理解することができたらすでにあなたはこの本を読む前より音楽の特性についてよりよく理解することができたと確信する。これからあなたが作曲する音楽は、音楽的な素養のない人が演奏するにはやや難しいかもしれない曲となるだろう。

音楽を正しく理解することはもしかして不可能なことなのかもしれない。それぞれの鑑賞法があり、その鑑賞によって個人的な思い出や考え方がまじりあって何らかの体験ができるようになるという点にその意義があるだろう。そういう過程も理解せず、音楽を理解しようとするのは作曲家や演奏者への侮辱だ。
音楽はアートンシミニが我々人間に与えてくださった高貴なプレゼント。そのプレゼントをどう活用するのかは我々次第だ。