- エリン音楽の歴史(1) -
The History of Erinn Music (1)


ローエイズ著


音楽がいつから始まったのか、また最初はどういう形として始まったのかははっきりわからない。
しかし、この本を書いている私がはっきり言えるのは、音楽は人類の起源と一緒だし、人間が言語を使用する前から表現の手段や理解の手段として使われてきたのだ。
このような事実の根拠としては、ウルラ大陸やコナフタ大陸の遺跡から出土された原始的な打楽器の発見が揚げられるだろう。こんな打楽器では具体的な音階を表現することはできないが、拍子や打撃音として人間の感情を表現するには特に問題がないので、音楽の公認されたスタートだとみなしても反論はないだろう。

打楽器の遺物発見以降、ウルラ大陸で発見されたパルホロン族の遺跡には楽器を利用して演奏したりコミュニケーションしたりする絵が見れる。特にタラトでは勇士たちの後ろにリュートを持っている楽師たちの姿が描いてある土器や壁画が出土されたこともあった。
特に、リュートやハーフがこの時期に導入されたということは、パルホロン族が人間と違って音律を表現できる楽器を持っていたことを意味する。ただ、壁画のリュートは現在の7音の音階でなく5音を使う音階だったと思われる。

このような音楽の発達は、パルホロン族が滅びた後、その物語を歌に作って伝えた吟遊詩人のバードによって維持されてきた。この時期の最も大きな特徴としては、音を表現して楽しむ以前の音楽を、過去の歴史を記録し、後代に継ぐ叙事的な機能の音楽になったことがあげられる。

音楽の機能が強調されるということは音楽の性格が変わり、音楽が物語りの付随的なものとして変わったと誤解しやすいが、実はその反対の現象が起きたことに対して注目する必要がある。
物語自体が引き出す感動のために、音楽の構成や造成が重要視され、このような音楽を演奏者と関係なく恒常性を持つものとして維持するためには、音楽をずっと保存する手段が要求されたからだ。

このような過程から記譜法、つまり楽譜に音符と拍子を分けて記録する方法が登場するようになった。それで音楽はこれを基にして驚くように発展するようになる。

(次の巻に続く)