- 楽器の心臓、共鳴胴 -
A Sound Box


ウェルラ 著



共鳴胴は、楽器にある空間で楽器の音を作り出す楽器の心臓のような場所だ。演奏者が楽器に与える振動と音がこの空間に伝えられると、増幅・反響し音楽的な音色となって広がっていくのだ。

共鳴胴の大きさは、楽器の音及び演奏の特性を決定づける。同じ形の楽器でも共鳴胴の違いにより全く異なる音になり、よく作られた共鳴胴を持った楽器は、高音と低音のバランスがとれた音を出す。

今日も、より美しい旋律を持つ楽器を作るため、多くの楽器職人が共鳴胴の改良に心血を注いでいる。

楽器だけでなく、我々人間も音楽を美しく奏でる共鳴胴を持っている。それは心だ。

演奏とは楽器に存在する物質的な共鳴胴と共に演奏者の心という情緒的な共鳴胴を通じ音を伝えるものだ。表現を変えると演奏者は楽器が出すメロディーに自分の気持ちをのせるものだと言えるだろう。

あなたは自身の演奏或いは作曲に不満を感じ、音楽の道から挫折と失敗を味わい、スランプに陥る日が来るかも知れない。そんな時は、自分の共鳴胴を一度見つめなおす時間を持つことをお勧めする。

休息をとり自分の心と魂をゆっくり見つめると、人生という険しい森を乗り越え受けてきた傷を癒す機会を得られるはずだ。その傷を治し共鳴胴を整えれば、あなたは音楽的に成長した自分を発見できるだろう。