ポーシャのラブレター


バサーニオ、ああ、愛しのバサーニオ

信じられますか?
私は長い長い年月の間、あなたの顔を、あなたの声を、あなたの温かい手を忘れて過ごしていました。
でも、怒らないでください。すべてはメモリアルタワーのせい…決してあなたへの愛が冷めたわけではないのです。
逢いたい逢いたい逢いたい。あなたは今どこにいるのですか?まだ風の旅は終わっていないのですか?いいえ、もしかして私の隣ではないどこかで旅の終着点を見つけてしまったのですか?

バサーニオ。ああ、バサーニオ…
早く、早く…一時でも早く帰ってきて。父は…あなたと私の仲を引き裂こうとした父は亡くなりました。ああ…こんなことを言う私は罪深いのでしょうか?父が亡くなったその瞬間にもあなたの顔と声だけを思い浮かべ、あなたと再会するその瞬間だけを思い描いていた私は本当に悪い女です。でも、でも…それもすべてバサーニオ、あなたのせいです!あなたが私の胸の中に決して消えることのない炎を灯してしまったのだから。私のバサーニオ、でも父は亡くなってからも私を自由にはしてくれませんでした。もしも私に選択権があるならば、今すぐにでも、たとえフィリア中のエルフに後ろ指を指されることになっても、父が亡くなった当日にでも、あなたと結婚したでしょう。一日でも早くあなたの手を握って、あなたの胸に抱かれてあなたの優しいグレーの瞳を見つめられるならば…他の人の視線など関係ありません。
でも…父は亡くなってからも私を放してはくれません。私にはあなたを選択する自由が与えられませんでした。父が、本当に徹底的にあなたと私の仲を引き裂くために最期の遺言を遺してしまったのです!私と結婚する相手は…父が遺言で遺したクイズに正解しなければなりません。馬鹿げたクイズ!馬鹿げた父!どうして私の結婚相手を父が遺したクイズで決めなければならないのでしょう?どうしてあなた以外の他の人が私の夫になれるというのでしょう?私は父が亡くなったあと、毎晩涙で枕を濡らしています。その涙が父の死を悲しんでいる涙なのか、それともあなたと私の仲を引き裂こうとする父への怒りの涙なのかは私にも分かりません。

父はクイズに正解した男と結婚しないならば、私をエルフの社会から追放し、記憶をなくしたままロンガ砂漠を永遠に彷徨わせよという遺言を遺しました。

バサーニオ。
もしもあなたがいなければ、私ひとりならば、私は父の遺言など気にしなかったでしょう。父が勝手に私の運命を決めるならば、財産など何の意味がありましょう?記憶などあっても何の役に立ちましょう?巨大な邸宅は?美貌は?でもあなたのためならば…今の何億倍も良い女性になりたいのです。一千倍美しく、一万倍お金持ちになりたい。…あなたの隣で。あなたに似合う女性になるために、さらに深い知性と美、そして素晴らしい人生と友人まですべてを備えたいのです。

ああ…バサーニオ。この手紙を持っている人は私が心から信じる真の友人です。この方を通じて私に返事をください。一日も早く…!あなたを待つ一日一日…私の心臓はパララの熱い炎のように燃え上がっているのです。


たっぷりと愛を込めて…

ポーシャ

追伸 : バサーニオ、父が遺した遺言に、私の結婚相手には持参金3千万ゴールドを用意させよという条件もあります。ですが、そんなことはご心配なく!あなたが3ゴールドも持っていない一文無しでも私は構いません。ただ、私のところへ来るときには誰かから3千万ゴールドを借りてきてください。利子のことなど考えずに。あなたを奪った父は私に虚ろな心を与えた代わりに山ほどの遺産を遺してくれましたから。