バサーニオの返事


ポーシャ、おお、愛しいポーシャ

あなたの手紙が私の息を止めるところでした。
私の血管を流れる熱い血があなたに向かって叫ぶ声が頭の中にこだましています。

正直に告白します。ポーシャ、フィリアを離れたあと、私はあなたを忘れようと、いいえ、忘れられると思っていました。フィリアであなたと別れた直後、あの運命的な最後の夜にあなたのお父上が私を訪ねてきたのです。私は驚きました。もしかしたら、お父上がついに私をあなたの伴侶として認めてくれるのかもしれないという思いで胸も高鳴りました。ところが…お父上が私に言ったのはたった一言。"二度とフィリアに戻ってくるな。" その言葉と共に氷の刃のように冷たい視線で私をにらみ付けるお父上の前で、私はすべての勇気と希望を失ってしまいました。その後、私はあなたを忘れるために (本当に恥ずかしいことですが…!)ウルラ大陸全域を彷徨いながら、愚かなことばかりしていたのです。ポーシャ、私が犯した罪をあなたに聞かせ、きれいなあなたの耳と心を汚したくはありません。

ですが…ひとつだけ確かなのは、あなたが私を救ってくれたということです。あなたと最後に見つめ合い、言葉を交わしてから何年もの月日が経ってしまったのに、どうしてあなたが私を救ったのか、聞きたいでしょう?もしかしたら、あなたは私がまた嘘をついていると思っているかもしれませんね。でも、そうではありません。本当のことなのです。あなたの体はフィリアにあっても、あなたの魂は、私に植え付けられたあなたの魂の小さな一部分は、いつも私と共にいてくれました。そして、無意味な快楽と放蕩に溺れかけていた私を支えてくれた唯一の命綱は、あなたにもう一度逢いたいという…どうにかしてあなたにふさわしい男となり、お父上にあなたの伴侶として堂々と認めてもらうのだという夢でした。私の準備に時間がかかり、お父上は亡くなってしまいましたが、私は彼の遺したものに頼らず、私自身の力で解決してみせます。そして、あなたのお父上が認める男として、あなたを心から愛する男として、堂々とあなたを妻に迎えるつもりです。ポーシャ、心配しないでください。私たちは運命で結ばれているのです。真実の愛の前には、いかなる障害物も存在しません。
私の旅の終着点はただひとつ、あなたのいる場所。風の旅はもう終わりました。私はあなたのもとへ帰り、休みたい。もう少し…もう少しだけ待っていてください。


猛烈に燃え上がる愛を込めて…

あなたの永遠の僕、バサーニオ