鉄はとても恥ずかしがり屋
土や岩の中に隠れ
自ら顔を見せる事はない
我らはそんな鉄を掘り起こし
長き眠りから
呼び起こす
赤く光り輝く鉄は
型に流され塊となる
二度と地中に戻らぬように
炎の中に投げ入れられた鉄は
火花の叫び声と共に
再び赤く燃え上がる
鉄は何万回と叩かれながら
刀や槍に姿を変える
地中の頃の姿を忘れるまで
鉄には
痛みを耐え抜く強さと
誇りがある
苦しみを耐え抜いた鉄は
体を鋭く磨き上げ
全ての悲しみを切り裂く
人間は鉄の意志とは関係なく
鋭い鉄を振り回し
新たな悲しみを生む
今日も人間は
恨みを鉄に込めて
鉄を振り回す
鉄の安息は
錆びて朽ち果て
死を迎えるまで訪れはしない